2010年12月29日

《ブライユ生誕200年》世界最初の盲学校INJA(1/2ページ)

http://mainichi.jp/universalon/report/archive/news/2009/20090129mog00m040999000c.html

◆日本人グループがパリ盲学校を見学(1ページ)

写真1 ◇日本人グループがパリ盲学校を見学
ブライユの命日に当たる1月6日午前8時半。ブライユの生誕200年を祝うために日本から来ていた筑波大と宮城教育大、そして僕らの三つのグループの総勢約20人がユネスコ本部から歩いて来られるほどの距離にある国立盲青年会館=写真1=(INJA、以下パリ盲学校)前に集合した。校内を案内する同校英語教師のマリー・ルネ・エクターさんの手間を考えてスケジュールを調整したのである。


写真2今回の国際会議の主催者の一つでもある国立パリ盲学校はヴァランタン・アユィが1784年に世界で初めて創設した視覚障害児のための専門教育学校で、隣接するヴァランタン・アユィ協会と並んでフランスの視覚障害者にとって中心的な施設の一つである。パリ56番通りアンヴァリッドにある現在の校舎は1843年に建てられたもの(公式に開校したのは1844年2月22日)で、ブライユは1852年の病没まで9年間、ここで教鞭を取った。

写真2:校内に展示されているブライユの胸像。高い位置にあり、頭までは手が届かない。

ちなみに、「Louis Braille: A Touch ofGenius」(マイケル・メラー著)によると、公式な盲教育の発祥は1786年、ノートル‐ダム・デ・ビクトワール(18 rueNotre−Dame−des−Victoire)でのことである。最初の生徒はものごいをしながら幼い兄弟の暮らしを支えていた17歳のフランソワ・ル・スェールで、アユィは彼に授業料(生活費)を払って入学してもらったという。なお欧州で2番目の盲学校は、ヨハン・ウィルヘルム・クラインによって1804年にウィーンに設立された(同書、以下歴史的な記述は主に同書による)。

その後、パリ盲学校は1816〜1843年までセーヌ川南に位置する68 RUEサン・ビクトール(Saint−Victor)に移転する。そこは信じられないほどの劣悪な衛生環境で、入浴は月に1回、調理や生活用水は汚れたセーヌ川の水をくんでそのまま使っていた。建物はがたがたで、校内は換気が悪かったためいつもじめじめしていた。90人の生徒の多くが結核に侵され、校内にはせきが絶えず聞こえていたという。1819年に、10歳のブライユに付き添って同校にやってきた父親はぎょっとした。小さな田舎の村から晴眼者にも負けないほどの高等教育を受けさせようとやっと入学許可をもらった大都会パリの盲学校がこんな状態だったのだから無理もない。

興味深いのはブライユが在学していたころ、盲児のための専門教育施設でありながら、6人の晴眼の生徒も受け入れていたことである(前掲書、p55)。彼らは無償で教育を受ける代わりに、移動のガイドや代筆など盲生徒の介助をする役割を担わされていた。現在は、視覚障害児を受け入れる30の国立教育機関がパートナーとしてさまざまな形で同校を支えている。しかし、INJAは国立の教育機関であるにも関わらず、文部省管轄ではないとのことだった。

「授業は小学生から成人クラスまで、1クラスの定員は12人。現在、155人の盲生徒がいますが、中には3人の盲難聴生もいます。」


写真3エクターさんが説明した。盲学校の児童生徒数の減少が目立つ日本と比べると、必ずしも少ない数ではない。ちなみに現在のフランスの全人口6500万人のうち全盲者は6万5千人、弱視者を含むその他の視覚障害者は120万人である。

20分間の休み時間になると、教室から一斉に生徒がとび出してきた。小学生は、珍しい雪に大喜びで、ワイワイ言いながら雪合戦を始めた。グラウンドに作られたコンクリートのランニングコースは盲生徒が一人で走ることができる。グラウンドの向こうにはバスケットボールのコートもある=写真3=。体育の授業も行われているということだったが、一般的に体育が授業科目になく、グラウンドや体育館もないフランスでは珍しい。

パリ滞在中、ほとんど毎日のようにガイドアシスタントを買って出てくれたパリ在住のメル友Tさんが「高校生くらいだと思いますけど、お化粧もばっちりですよ。男の子たちはみんなエムペートロワ(MP3)をポケットで鳴らしてます」と説明してくれた。化粧は母親か姉妹が手伝ってくれるのだろうか。

盲乳幼児へのプログラムでは、0〜6歳までの盲児と家族のための教育・心理相談室がある。ときには自宅への訪問相談も行い、入学が決まるとまずは校内、学校周辺、そして自宅からの通学路と徐々に範囲を広げて適切な歩行訓練を提供するという。

2009年1月29日記事

posted by poka-risu at 00:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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