2010年04月30日

ストリング2008年9月号より「永峰高志VS下野竜也 ヴァイオリニストと指揮者の対談『先振り』について」@

ストリング2008年9月号より
「永峰高志VS下野竜也 ヴァイオリニストと指揮者の対談『先振り』について」

(下野竜也は指揮者、永峰高志はN響第2ヴァイオリン首席奏者)

ー下野さんが(永峰さんの記事から)興味を持たれたテーマというのは?

下野「永峰さんが出逢われた指揮者の巨匠たちの『先振り』ということだったんです。最近、ただ単に音に合わせているだけの指揮者が多いけれども、その先の音楽を事前に棒で作っている指揮者は希少価値になってきた、という記事を書いてらっしゃるのを見て・・・」

永峰「僕が以前書いたことというのは、簡単に言えば『音が鳴る前に、棒でものが言えなくてはいけない、そして、出てきた音の対処の仕方で一緒になれるかどうかが決まってくる』ということなんですよね」

下野「指揮を習いたての頃というのは、音と手の動きとがシンクロしていないと気持ち悪い、と感じる状況にどうしても陥るんです。
 特に学生時代、指揮法に関しては、いろいろな基礎を徹底的に叩き込まれるので、勉強の時間としては、手を動かすこと自体の勉強に七割くらい割かれるわけですね。
 ところがオーケストラを実際に振ると、いいオーケストラになればなるほど、手の動きのとおりにはなかなか動かない。じりじりしてしまう時間が多くて、結局、オーケストラが重く感じるんです。遅く感じるんです。
 特にプロのオーケストラを初めて降り出した頃というのは、自分がこのテンポだと思って振っていても、前に行ってくれない。かといって、勿論オーケストラは指揮に対して意地悪をしているわけではないんですよ。実は棒が動いているままに演奏しているんです。
 オーケストラと指揮者の間にある緊張感、繋がり感というものは、大変に微妙なんですね。あたかも、弦が弛んでしまったら鳴らないけれど、かといって張り過ぎてしまったら、窮屈になる、そのような感じですね。」


*「先振り」について永峰氏の過去インタビューより*

ー先振りというのは、音よりも先に振るということですか?

「そうです。奏者が演奏する前に、きちっとした図形を描くことですね。

ーすると、一瞬音より早く?

「そうです。」

ーかえって混乱しませんか?

「いえ、やってみれば分かりますが、先振りの方が見やすいです。混乱しません。というか、先振りでなければいけない、ということですね。」

ー打点と同時に音を出すのは?

「それだと、どんどんオーケストラが遅くなっていきます。ですから棒は絶えず、前に前に動いていかないと。つまり、先に絵を描いてあげないといけない。次はどういうふうにするのか、というのが見えてこないといけない。

オン・タイムでオタマジャクシを見て振るのではない、ということですね。

イメージが指揮者の中にはっきりあれば、僕たちは、それをくみ取れるはずなんです。くみ取るということは、言い換えれば、ヤマを張る、ヤマをかける、ということなのです。本番もヤマを張るしかないんです。演奏というのはヤマを張ることの連続なわけです。そのときに正しいヤマを張れるかどうか、が問題なわけですね。

アンサンブルというのはヤマの張り合いなんですよ。逆に言えば、ヤマが張れるということは、相手が何を考えているかが分かる、ということなんです。」

〜次回に続く〜
posted by poka-risu at 00:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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