2010年12月25日

《ブライユ生誕200年》真の点字発祥地クーヴレー村を訪ねて1

http://mainichi.jp/universalon/report/archive/news/2009/20090217mog00m040019000c.html

ユネスコ本部での国際会議が閉会した翌日の1月8日は、パリ郊外のクーヴレー村にあるブライユ生家へのツアーが挙行された。「メゾン・ナタル・ドゥ・ルイ・ブライユ」、文字通りブライユの生家という名がそのまま付けられたこの博物館、外見はただの田舎の民家だ。400人を超える参加者が一度に入ることは到底できない。そこで、1グループ約1時間の見学時間で、パリ市内のヴァランタン・アユィ協会から順番に専用バスで乗り付けた。(写真1:ブライユ生家「メゾン・ナタル・ドゥ・ルイ・ブライユ」)

昨秋も当地を訪れたという大内氏と僕、そしてガイドアシスタントとしてはもちろん、カメラマンとしても大活躍してくれたTさんの3人は当初の計画通り、パリ市内から郊外へ向かう高速鉄道(RER)のA線でクーヴレーに出発した。生家だけでなく、ブライユが洗礼を受けた教会や今でもブライユの手だけが納められている村の共同墓地なども回って、ブライユが歩いた道、ブライユが聞いた音、ブライユが嗅いだにおい、ブライユが吸った空気…、つまりブライユが愛し、生きたクーヴレーの全部を感じたかったからだ。


写真2市内中心部のオペラ駅から終点のマルヌ・ラ・ヴァレ‐シェシー(Marne La Vallee/Chessy)までは約40分。ディズニー・リゾート・パリの最寄駅だ。ちなみに、特急列車のユーロスターでロンドンから3時間で来られるそうだ。駅に降り立つと舞浜など足元にも及ばないほどの大にぎわいだ。花の都パリに来てわざわざディズニーランドに足を運ぶ旅行者の気持は僕には理解できないけれども。(写真2=マルヌ・ラ・ヴァレ‐シェシー駅を降りディズニー・リゾート・パリへ向かう旅行者)

僕らはそのにぎわいに背を向けて、タクシーでいざクーヴレー村へ。ところが、運転手に「ルイ・ブライユ通り」と告げると「どこだって?」との返事。「ほら、ルイ・ブライユの博物館があるところですよ」と説明してもぽかんとしている。どうやら僕らが思っているほど一般のフランス人の間では知られていない所なのかもしれない。とりあえず村に入れば大内氏が分かるということでクーヴレーに向かった。

10分ほど走りクーヴレー村の役所まで来たところでタクシーを降りると、あたりは物音ひとつ聞こえない静寂。雪を踏みしめる3人の足音だけが静かに響いた。役所前の広場には、子供に点字を教えているブライユの銅像があった。やはり村一番の有名人であることには変わりないのだろうが、生誕200年を感じさせるような飾りや表示はどこにもなく、いつたむけられたかも分からない枯れた花束が置かれているだけだったのにはいささか拍子抜けだった。


写真3銅像の裏側に回ると、金属プレートの点字のアルファベット一覧表があった。指が凍りそうになるのをこらえながら触れてみる。(写真3:広場中央にあるブライユの像=左=と点字の一覧表=右=)

ブライユの生家に向かってしばし山道を進むと、不規則でかなりの急こう配の下り階段が出てきた。雪で滑らないように注意しながらゆっくり下りていくと、横から川のせせらぎが聞こえてきた。種類は分からないが、すぐ近くの木陰でときおり鳥のさえずりも聞こえる。200年前と全く変わらないのどかな風景がここにはあるのだ。


写真4木の橋を渡りながら、水面までの高さを確かめようと白杖で探っていると「全然届きませんよ」とTさんが笑った。だがその先にあったかつて洗たく場だったらしいところで再度杖を伸ばしたら今度は水面が感じられた。せせらぎは聞こえているのに表面にはうっすら氷が張っているという。(写真4:氷の張った小川)

生家に到着すると、ちょうどパリからバスで到着した第1グループのツアーが始まったところだった。ヴァランタン・アユィ協会のクリスチャン・ヴォル氏が「バスに乗ってなかったですよね?」と怪訝そうに訊いたので「電車で来ました」と説明した。

「1849年、ブライユが死の3年前に読んだ宗教書です。」


写真5室内に入ると、フランス語なまりの強い英語でムッシュが説明しながら分厚い点字書を回した。現在と同じアルファベットを用いたフランス語の点字本=写真5=だった。

次に回されたのは活字のアルファベットをそのまま浮き出させた算数の教科書だった。文字の形らしいことは触って分かったものの、正直、小さすぎて数字ですら僕には判読できなかった。【岩下恭士】

2009年2月17日記事
posted by poka-risu at 00:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月24日

《ブライユ生誕200年》新刊『楽譜点訳の基本と応用』川村智子・著

http://mainichi.jp/universalon/report/archive/news/2009/20091228mog00m040037000c.html

《ブライユ生誕200年》新刊『楽譜点訳の基本と応用』川村智子・著
(明石書店/税込7140円)

1987年から横浜の点訳ボランティアグループ「ダ カーポ」の代表として楽譜点訳に携わってきた元音楽教師で教会オルガニストの著者が、自身の学習メモをもとに初心者がつまずきやすいポイントなどを分かりやすく解説した点字楽譜学習書=写真。

点字楽譜は、パイプオルガンの名手でもあった点字の生みの親、ルイ・ブライユが六つの点の組み合わせだけで音程や音の長さ、奏法記号など、五線譜に表されるすべての符号を表現したもので、19世紀の半ばに点字のアルファベットよりも早く視覚障害者用の公式文字として採用されている。

日本語の楽譜点訳の基本的な手引は、文部科学省編の『点字楽譜の手引』(1984年)が出版されているが、それ以降実用的な学習書は存在しないという。

本書は、「点字楽譜を教えてもらえる機会がない」という利用者の訴えを聞いた著者が、点訳ボランティアだけでなく、点字楽譜を学びたい視覚障害当事者にも易しく点字楽譜が学べるように点字版も製作した。

A4判、176ページ。税込7140円(全3巻の点字版も同額)。

【岩下恭士】

<目次から>

まえがき/凡例

1.楽譜点訳の基本

1)楽譜の基本的表記について(1):音符と休符/音列記号/小節に関する記号

2)楽譜の基本的表記について(2):拍子記号/3連符/変化記号/ブレス記号/単旋律曲を書く場合のレイアウト

3)連符記号:用い方/連符の続け書き/連符を表す数字

4)集合音符と奏法に関する記号:集合音符/奏法に関する記号

5)調子記号・速度記号・強弱記号・発想標語:調子記号(調号)/速度記号/強弱記号/発想標語(記号)

6)和音(音符法と音程法):表記の種類/規則/和音のスラーとタイ

7)部分け法と内分け法・ステム記号:部分け・内分け法の使い方/部分け・内分け法の規則/ステム記号

8)スラーとタイ・分別記号:スラー/タイ/分別記号

9)装飾音:装飾音の種類/装飾音の書き方例

10)五線譜表における繰り返しおよび省略法:五線譜表の反復記号/反復記号の規則

11)点字楽譜における繰り返しおよび省略法(1):レ下がりによる繰り返し/レ下がりの規則

12)点字楽譜における繰り返しおよび省略法(2):小節の部分的省略法/小節番号による繰り返し法

2.実践・楽譜点訳ノート

1)音符と休符:小音符/小音符の和音/倍全音(倍全休符)記号/添付休符

2)分別記号:分別記号の位置/分別記号が必要なとき/分別記号が不要なとき/トレモロの分別記号/全音符・16分音符とシンコペーション

3)音列記号:音列記号が必要なとき

4)小節線・複縦線・終止線:複縦線/任意の小節線(縦の点線)/リピートの閉じとFine

5)拍子記号:曲のはじめに書くとき/曲の途中に書くとき/1曲に拍子記号が2つあるとき/分数で書かれていない拍子記号

6)連符:連符記号/3連符と装飾音/3連符と奏法・装飾音記号の順序/8分首符の3連符の続け書き/連符の続け書きの中のレ下がり/連符の行替え

7)集合音符:集合音符の目的/規則/集合音符と休符、装飾音、部分け、連符、カデンツ/集合音符と拍子(8分の3拍子・8分の6拍子)/集合音符とレ下がり/その他

8)変化記号:臨時記号/カッコの中の臨時記号/カッコの使い方の例/小音符の臨時記号/タイの後の臨時記号/部分けの臨時記号/音符の上の変化記号

9)調子記号:調子記号(調号)が途中にあるとき/小節半ばで転調するとき/行頭にある調号/ソロパートと伴奏譜の調号が異なるとき/その他

10)和音:和音の基準音/音符法と音程法/和音のスラーとタイ/和音の部分け/和音の続け書き/その他

11)部分けと内分け:音列記号/内分け/レ下がり/休符/集合/ブレス/和音/声部の逆転/強弱記号/奏法に関する記号/標語/アルペッジョ/奏法の続け書き/行移し/スラー/その他

12)スラーとタイ:スラー/両手にかかるスラー/左手から右手へのスラー/フレーズスラー/フレーズスラーが2つ続くとき/フレーズスラーとタイ/ステムのスラー/交差するスラー/気分のスラー/名残のスラー/装飾音のスラー/スラーの続け書き/和音のスラー/声楽曲のスラー/タイの種類/和音のタイ/アルペッジョのタイ

13)反復記号・省略記号:リピート記号/小節半ばのリピート記号/1番カッコと2番カッコ/反復記号の書き方いろいろ/1ヵ所の反復記号/セーニョ/Codaとビーデ/ビーデ記号/小節番号による繰り返し/記号の続け書き/全パートの繰り返し/数字による繰り返し記号/その他

14)レ下がりの使用法:レ下がり/複縦線の小節のレ下がり/半拍のレ下がり/前の小節にpがある場合/間に複縦線がある場台/小節を越える場合/念のため/拍の裏のレ下がり/記号の続け書きの中のレ下がり/レ下がりと記号の閉じ/トリルのレ下がり/カデンツの中のレ下がり/レ下がりの繰り返し/同じ曲の中のレ下がり/レ下がりのその他の使い方/1小節単位のレ下がり/3連符の繰り返し/レ下がりの使用可能な拍

15)ブレスとカンマ・つなぎ符:ハーフブレス/ブレス/カンマ/つなぎ符

16)強弱記号:クレッシェンド・デクレッシェンド/閉じ記号の省略/1音に付くクレッシェンド・デクレッシェンド/1音符上に2つ以上記された、または途中から表される強弱記号/強弱記号の中の強弱記号/分割音の中のクレッシェンド・デクレッシェンド/cresc.とdecresc./poco a pocoの位置/小節途中のpocoapococresc./カッコの中の強弱記号/ppとpp#/強弱記号と点線/強弱記号に続く点線の閉じ記号/pやfに続くアルペッジョ/代用記号/その他

17)速度記号:メトロノーム記号/楽曲途中の速度変化/a tempoについて/Tempo1/poco rit,/曲のはじめの速度標語/曲の途中の日本語/テンポに関する記号

18)発想記号・奏法記号:曲のはじめの発想記号と標語/曲の途中の記号と標語/行末の発想記号/カッコに入れる標語/ヨ(点字表記)を付けて書く記号/記号の順序/フェルマータ/テヌートとスタッカート/トレモロ/アルペッジョ/強弱記号に続くアルペッジョ/両手にかかるアルペッジョ/sim.について/sim,の範囲/sim.の同型パターン/sim.が曲の途中で切れるとき/sim.の内容が途中で変わるとき/短いsim./グリッサンド(ポルタメント)/左手から右手へのグリッサンド/クラスター/ハーモニックス

19)装飾音:装飾音のスラー/後打音とスラー/スラーのない前打音/ターンに臨時記号が付くとき/ターンの下にハーフブレス/トリルの書き方/モルデントと指記号、トリルと後打音の例/装飾音の行移しの例/その他

20)続け書き原則/音程/8度音程/和音の続け書き/音程の続け書きとレ下がり/スラー/スタッカートとテヌート/アクセント/リピート記号/途中から別の記号が続くとき/セーニョが途中に入るとき/トリルの続け書き/連符の続け書き/続け書き記号の省略/部分けの中

21)指記号とペダル記号:指記号/指を変える/トリルの指記号/ターンの指記号/カッコの中の指記号/指記号が何通りもある場合/レ下がりと続け書き/集合/部分けの指記号/ペダル記号/左手に音がない場合/両手記号のペダル譜例/ペダル記号の省略

22)コード記号:コード行/コードネーム/コードネームの書き方/コードネーム付き行移し/コードシンボル/コードシンボルの書き方例(全音符の場合)/異なったコードを同時に響かせる場合/コード行の書き方いろいろ(コードネーム)

23)その他の記号:ヨ(点字表記)の記号/音部記号/注の記号/手記号/手記号の省略形/ギターポジション記号/通奏低音記号

24)書き方の形式:点字楽譜の書き方の形式/バー・オーバー・バー/ライン・オーバー・ライン/バー・バイ・バー/ライン・バイ・ライン/セクション・バイ・セクション/一般的レイアウト/小節に関する記号/小節半ばの行移し/題名と出典/標語の行/コード付きの歌曲/歌詞/倉唱曲/合奏曲/練習番号/カデンツ/oderの書き方/注の中の楽譜の書き方/部分けの場合の小音符/添付休符の書き方/楽譜の中のカッコ/できれば行頭に置くもの/原本の正誤と注/その他のいろいろな表記

付録◆点訳譜例集/あとがき

【関連リンク】
明石書店
http://www.akashi.co.jp

2009年12月28日記事
posted by poka-risu at 00:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。