2010年05月01日

ストリング2008年9月号より「永峰高志VS下野竜也 ヴァイオリニストと指揮者の対談『先振り』について」A

永峰「ところで、『内容を見せる』という意味での『先振り』と、単なる『タイムラグ(ずれ)』というものもあるんです。この両者は全く別物ですね。
 それから、僕がコンサートマスターとして演奏するときとか、指揮者無しで演奏するときに、合図を出しますよね。つまりそれは『弾き振り』ということですね。その弾き振りのタイミングと、僕も時々棒を振るのですが、その棒だけで振るタイミングとは、全く違うんです。同じアインザッツでも弾き振りのタイミングと、棒だけで振るタイミングとは全然違う。
 
 弾き振りのタイミング、あるいはオーケストラのコンサートマスターの出すアインザッツのタイミングというのは、アウフタクトの合図は出すんですが、次の打点は無しでいいんです。
 つまり、弾き振りのタイミングというのは、オンタイムのタイミングなんですね。打点と音のタイムラグはほとんどありません。
 先振りの重要性は、こういうところにもあると思うんです。
 このタイミングで振り下ろしたら、絶対に振り下ろした打点で音が出ないという恐怖で、音に打点を合わせにいってはいけないということです。遠慮しないで、棒を降ろしてほしいと思います。そうしないと、単なるタイムラグですんでいたことが、音楽の作りに影響を及ぼし、『内容を見せる』ための『先振り』の『内容』自体が崩れていってしまうからです。」

ーところで、そもそも棒のどこで音が出るべきなのでしょうか。打点、あるいは打点の戻り、それ以外・・・・・・

下野「学生時代、僕の場合、オーケストラを振ってのレッスンというものはなかったので、便宜上の形、つまり、ピアニスト連弾でオーケストラの代わりをやってもらって勉強したわけですね。
 ですから、その当時は、ピッと振ったら瞬時にピッと出るみたいな感じで進んでいたように思います。
 (実際にオーケストラを振ったら、ピッと振ってもピッとは絶対に出ないので、)私が指揮者になりたくてプロのオーケストラを降り始めた数年は、打点で音が出るべき、と思っていたことは確かです。だけど、その打点で音が出なくても、そのあとオーケストラがいい音で出ることの方が大事、と思うようになりました。」

〜次回に続く〜
posted by poka-risu at 00:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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